アシカ小屋

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ゴー・アラウンド体験記

「ゴー・アラウンド(着陸復行)」というのを御存じでしょうか。

詳しくはwikipediaやらをご一読いただいたり、あるいはyoutubeやらで実際の動画をご覧いただくとよいのですが、簡単に言うと、「着陸しようとした航空機が何らかの危険回避のため、再び上昇して着陸を取りやめること」を指します。

 

着陸復行wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9D%80%E9%99%B8%E5%BE%A9%E8%A1%8C

ゴーアラウンドするジャンボ機の動画

https://www.youtube.com/watch?v=pL2wm3DJJKQ

 

これは操縦士の判断で行ったり、あるいは管制官の指示によるものだったりします。

 

 

実は先日、僕の乗っている便がゴー・アラウンドしたのです。

これまでに20往復弱飛行機に乗ってきましたが、初めての出来事です。

 

 

実家のある福岡から羽田へ向かうスターフライヤー46便は、航空路の混雑のため約15分遅れで福岡空港を出発。

飛行は概ね順調でしたが、当日の関東地方の天候は悪く、着陸態勢に入る房総半島上空で気流の乱れによる機体の大きな揺れがありました。

ゴーアラウンド自体初めての出来事でしたけども、今回のフライトの揺れも恐らく今までで一番大きかったんじゃないかと思います。キャビン内は静まり返っておりましたけども、隣のおじさん、飛行機乗り慣れている風ではありましたが、機体が大きく揺れるたびに体を強張らせてましたし。

 

そうこうしているうちに房総半島上空の厚い雲を抜け、東京湾上空に差し掛かりました。ILSにも乗っかっていることだし、ここまで来たらあとはランディングするだけ。

 

2年半前に完成したD滑走路を横目に、A滑走路、34Lにランディング……と思いきや、あとちょっとでギアが接地するかというところで、いきなり機首が上がりエンジン音がけたたましく鳴り始めたのです。

 

およよよよよよおおと心の中で叫ぶも、窓に映る羽田1タミはどんどん遠くなっていく。

もう茫然です。僕はこれからどこへ連れていかれるのか。コクピット内にハイジャック犯が押し入って、北朝鮮に行けとでも言われたのだろうか。

 

ゴー・アラウンドから程なくしてCAさんから「着陸を取りやめた。詳しいことが分かり次第お知らせする」という旨のアナウンスが。

 

そのCAのアナウンスから数分後、機長から直接

「滑走路上に障害物を発見したため離陸を取りやめた。着陸をやり直すが予定の到着時間から15分ほど遅れる」との説明がありました。

結局、その障害物というのはなんだったのでしょう。当機の前に着陸した機体が誘導路に退避するのが遅れたのか、離陸待機している機体が何らかの原因で滑走路上に出てしまったのか(それならベタ記事でもニュースになるだろうが)。それとも航空機とは違う別の何かなのか。

 

 

それはともかくとして、下の地図をご覧いただければおわかりの通り、ゴー・アラウンド後、南に旋回してまた房総半島上空に戻って着陸をやり直しています。

 

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また大きく揺れるんです。

「もうこんな大揺れはこりごりだ」と思っていたのですが、まさかその直後にまた遭遇することになろうとは。

 

とはいえ、さすがに2回目なので慣れたといえば慣れたのですが。。

 

 

2回目の着陸は難なくクリア。結局予定より30分遅れで羽田空港に到着しました。

 

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ゴー・アラウンド自体はそう珍しいことではなく、年に100回ほど搭乗しているというある人は、「100回のうち10回はゴー・アラウンドしている気がする」と語っているほどです(僕の感覚としては、もうちょっと低い割合なのではと思いますが。まあでも所詮は通算20往復です)。

実際にyoutubeでゴー・アラウンドに関する動画を検索すると、結構多くヒットします。外で見ている側にしてみれば、「おーおー、ゴーアラウンドしよるわー!」と、動画の1つでも録画したくなってしまいます。

 

そして、今回のような障害物との衝突回避にしろ、強風による着陸失敗を防止するにしろ、危機回避のために行う動作であるので、パイロットの方には「よくぞ危険を察知してくれた!」と拍手と抱擁で称えたい気分にもなります(当の本人たちにしてみれば、もしかすると屁でもないことかもしれません)。

 

しかしながら、やはり「当然着陸するもの」と思っていた機体が突然轟音と共に急上昇するのを身をもって体験するのは、やはり怖い。

 

 

 

余談ですが、スターフライヤーでのFUKHNDは初めてで(逆は何度かある)、その他は毎回ANAを使っているため、1タミ到着は初めてでした。

ANAが使用している羽田2タミは到着と出発の動線が、PBB使う限りでは完全に分離されていますし(羽田でのタラップ乗降は経験無いのでよくわかりません)、地元の福岡空港でも3タミ到着以外は分離しているため、羽田1タミの、出発ゲートラウンジを通って到着口に行くというのは、なかなか新鮮でした。